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昭和二十年夏、子供たちが見た戦争の表紙

昭和二十年夏、子供たちが見た戦争

梯 久美子

出版社
KADOKAWA
発売日
2013年06月21日頃
ISBN
9784041008805
レビュー
3.5(4件)
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あらすじ・内容紹介

私は疎開してみたかったのね。違うところに行ったら、違う世界が見えるんじゃないか、別の運命があるんじゃないか。そう思ったの。
そうしたらね、入ってきたんですよ。ジープを先頭に。ついこの前まで、鬼畜米英と思っていたんだけど、目の前で見ると、やっぱり輝いて見えてしまう。
僕は、いい時代に育ったと思っているんです。敗戦直後の、ものすごく自由で解放された雰囲気。誰もが貧しかったけれど、活気があった。
原爆ドームに行ってみたら、ふっと出てきたんです。ええ、みっちゃんが猫を抱いていて。あの猫はね、冷たかった。死んでる猫だったのよ。
あのころは女学生も来て、僕の見ている前で打っていた。僕、聞いたんですよ。「なんでヒロポン打つの」って。そしたら「痩せたいから」。
出征した担任教師が戦死。これからまだまだ、いろいろなことが起こるにちがいないと思いました。とにかく憂鬱でした、世界が。
ええ、私にはわかっていました。この人たちはもうすぐ死んでいくんだって。一度飛び立ったら還ってきてはいけないということも。
終戦後の大連ではコックリさんが大流行しました。大の大人が「コックリさん、コックリさん、私たちはいつ帰れますでしょうか」とやる。
僕はたぶんあのとき、心底怖かったんだと思います。もしかしたら僕があの浮浪児になっていたかもしれない。何かが間違ったら、あの少年は僕だったかもしれない、と。
少なくとも兵士は銃を持って戦場に出た。でも一般の市民は、誰も守ってくれない無法状態の中に丸腰のまま放り出されたのです。

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