あらすじ・内容紹介
本書は、アスベスト被害の現実、労災認定までの道のり、そして家族で見送る時間の尊さを、介護日記を軸に綴った記録です。
「病院はいやや」
その一言から、家族の看取りが始まった。
夫を苦しめたのは、仕事がもたらした病、悪性胸膜中皮腫だった。配管工として六十年近く現場一筋だった夫は、長い年月のなかでアスベスト(石綿)を吸い続けていた。病名がわかったとき、治療はもう難しいと告げられる。
著者は、夫の「病院はいやや」という言葉を聞き、心を決めた。住み慣れた家で、家族とともに最期の時間を過ごすこと。そこから、一年六か月の日々が始まる。
涙ばかりの日々ではなかった。手をにぎり、笑い、孫の声に救われる瞬間が、たしかにあった。最期の日、夫は子どもと孫たちに囲まれて息を引きとった。病院では叶えられなかった、自分らしい時間だった。
広島出身の祖父が繰り返していた言葉がある。
「和美、生きるも地獄、死ぬるも地獄や」--それでも、生きる。
・大切な人を、どこで見送るか迷っている方
・在宅介護・家族介護のただなかにいる方
・建設現場や石綿(アスベスト)の健康被害について知りたい方
・労災や給付金の手続きを、家族の記録としてたどりたい方
・看取ったあとの日々を、どう生きるか考えている方
このような方に、ひとつの家族の答えを届けます。
はじめに
第一章 アスベストという時限爆弾
第二章 出会いから支えあう人へ
第三章 百年前からの警告
第四章 介護日記が始まる日
第五章 十月十八日、二時四十三分
第六章 「和美、安心せえ」
おわりに