あらすじ・内容紹介
新生血管型加齢黄斑変性(AMD)の診療は、大きく変わりつつあります。
『新生血管型加齢黄斑変性の診療ガイドライン』でも、ほかの検査所見からMNVの存在が明らかな場合には蛍光眼底造影を必須としない考え方が示されています。
OCTはすでに多くのクリニックや市中病院に普及し、抗VEGF薬硝子体内注射も日常診療で広く行われています。つまり、高齢化に伴って患者数が増えるなか、地域の眼科医にも、AMDを診断し、治療し、長期に管理する力がこれまで以上に求められています。
本書では、
・OCTでどのスキャンを確認すべきか
・fluidをどう評価するか
・OCTAのprojection artifactやsegmentation errorをどう見抜くか
・1型、2型、1+2型、3型MNVをどの所見から判別するか
・ポリープ状病巣をどう疑うか
・よく似た黄斑疾患をどこで見分けるか
新生血管型AMD診療で実際に迷いやすいこれらのポイントを、豊富な実画像を用いて段階的に解説します。
さらに、本書が扱うのは「診断」までではありません。抗VEGF薬の選択、固定投与・必要時投与・treat-and-extend、治療反応が不十分な症例での薬剤切り替え、光線力学的療法(PDT)の追加、パキコロイド新生血管症への治療、ポリープ状脈絡膜血管症に伴う黄斑下血腫への対応、さらには治療を行わず経過観察すべきquiescent MNVや瘢痕病巣まで、診断後に生じる「次に何をするか」を具体的に示します。
また、抗VEGF治療では、薬剤を投与すること以上に、その後の判断が重要です。本書では、dry maculaをどこまで重視するか、導入期治療への反応からその後の経過をどう予測するか、投与間隔をいつ延長し、いつ短縮するかを実際の画像経過で提示。さらに、眼内炎症、網膜色素上皮裂孔、網膜下線維性瘢痕など、治療中に見逃したくない合併症についても取り上げています。
そして「Chapter6 症例で学ぶ読影から治療まで」では、1型MNV、2型MNV、3型MNV、1+2型MNV、ポリープ状病巣、パキコロイド新生血管症など9症例を収載。初診時の画像から「何を読むか」を示し、診断のポイント、治療方針、さらに数ヵ月から数年にわたる治療経過を連続した画像で追います。抗VEGF薬で投与間隔を順調に延長できた症例だけでなく、滲出再燃によって投与間隔を短縮した症例、薬剤を切り替えた症例、PDTを追加した症例も収載しており、「この画像をどう解釈し、次に何をするのか」という専門医の臨床思考を、実際の診療の流れに沿って学ぶことができます。
蛍光眼底造影ができないからAMD診療は難しい、OCT所見には自信があるが治療方針には迷う、抗VEGF治療を始めたものの投与間隔の調整や難治例への対応に悩む。そのような眼科医にこそ手に取ってほしい実践的な診療アトラスです。