あらすじ・内容紹介
『タクシードライバー』を撮り終えたとき、
わたしは撮り始めたときよりも正気を失っていた。
──マーティン・スコセッシ
ハリウッドの成功と栄光を讃えながら、その伝統と作法を破壊し続け、それでもなお生き残った男。夢と現実、成功と挫折、愛と憎悪──人の運命のあらゆる局面を描き続けた〈映画の守護者〉の足跡を辿る。
ニューヨークのリトル・イタリーで育ち、幼い頃から映画と信仰のあいだで成長した少年は、いかにして世界を代表するアメリカの映画監督になったのか。
新しい時代の「映画作家」となるべく過ごした映画学科の時代、ロジャー・コーマンのもとでの映画制作の時代を経て、『ミーン・ストリート』『タクシー・ドライバー』というニューヨークを舞台とした2本の犯罪映画の傑作が、スコセッシを時代の寵児へと押し上げた。『レイジング・ブル』、『グッドフェローズ』、『カジノ』等の傑作における背景、『ニューヨーク・ニューヨーク』、『救命士』等の「失敗作」とも受け取られた作品における意思、あるいは『最後の誘惑』、『クンドゥン』、『沈黙 -サイレンス』等の信仰をめぐる作品に込められた信念とは、いかなるものだったか。
アメリカとイタリアを2つの極とする映画史への深い造詣のもと、俳優のロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシ、レオナルド・ディカプリオ、撮影監督のラズロ・コヴァックス、マイケル・チャップマン、あるいは編集技師のセルマ・スクーンメイカーら新しい世代の映画人たちとともに、半世紀以上にわたりマーティン・スコセッシは、あたかも映画の〈守護者〉として、自らの仕事を推し進めてきた。暴力あるいは祈りに満ちた世界へとキャメラを向け続けた世界的巨匠、そのキャリアの核心に迫る。