あらすじ・内容紹介
「救済」の主権を、専門家という特権階級から地域住民の手に取り戻す。なぜ、日本の医療や福祉は本来の目的を忘却し、傷ついた人々をさらに絶望の深淵へと追い詰めてしまうのか。なぜ、凄惨ないじめや虐待の被害者が「弱い」という不当なレッテルを貼られ、孤独の中に沈められなければならないのか。
本書は、一千本を超える文献を精読し、自らも筆舌に尽くしがたい「第三者行為災害」を生き抜いた一人の研究者が、既存のケアの概念を根底から覆すべく打ち立てた、救済の金字塔である。著者は、医学がこれまで隠蔽(いんぺい)してきた「人災」の構造を白日の下に晒し、医療リテラシーという名の「情報の盾」を、国民全員が備えるべき「教養」として力強く提唱する。
保健・医療・福祉という厚い壁を打ち破り、誰もが「助け、助けられる」真の平和社会をいかにして樹立するか。二〇〇三年の戦略論、二〇〇五年の地域連携論、そして二〇二〇年の情報論。著者が三十年の歳月をかけて積み上げてきた知見のすべてが、いま「ケア学」として一つの壮大な体系へと結実した。本書は、不条理な嵐に立ち尽くすすべての人へ贈る、命の再起動(リブート)のためのバイブルである。情報の非対称性を解体し、自らの尊厳を自らの手で奪還するための論理が、ここにある。