あらすじ・内容紹介
前代未聞の大スター美空ひばりを社会はいかに評価してきたのか。その変遷や時代背景を貴重な写真とともに振り返る。
前代未聞の大スター美空ひばりを社会はいかに評価してきたのか。いまだに高い人気を誇るが、当時どれほど強烈な人気を誇っていたか。その変遷や昭和の時代背景を貴重な写真も含めて、代表的な10の映画から振り返る。
前代未聞の大スター美空ひばり。その名は、いまだに忘れられることがない。いまからは想像もできないほどの熱狂的人気を得てきた美空ひばりを社会はいかに評価し、受け入れてきたのか。そして、その時代背景はどのようなものであったのか。現在では「演歌の女王」として認知されている美空ひばりだが、日本映画の黄金期には「銀幕の女王」でもあった。主演映画の多くは大ヒットとなり、全国津々浦々にまで美空ひばりの名は知れ渡り、彼女が映画の中で歌う歌は大ヒットしていたのだ。
本書では、彼女が主演した映画10本を選び、その映画から読み取れる、例えば当時の子ども観や女性に対する抑圧、さらには社会の風潮や人々の暮らしといった面や、そこから生まれた音楽の数々を例にあげて、評論家や社会や大衆が、美空ひばりをいかに評価し、また、その評価がいかに変化していったかを分析している。
美空ひばりの現役時代を知らない若い人々にも理解してもらえるように、当時の写真とともに、多くの注を添えて、登場人物や言葉の意味、背景なども説明した。
まえがき
第一章 東京キッド
・『東京キッド』に出演するまで
・初期映画の共演者はお笑い系
・歌う「戦災孤児」
・子どもらしくない子ども、そしてひばりバッシング
第二章 鞍馬天狗 角兵衛獅子
・爆発的人気と殺人的スケジュール
・占領下の時代劇とアラカンの嘆き、そしてひばりと時代劇
・ひばりと大女優たち、そしてひばりの男役
・ひばり杉作の大活躍
・戦前からの文化の体現者・美空ひばり
第三章 リンゴ園の少女
・王座獲得と限界説と打開策の失敗
・歌声は民放ラジオに乗せて
・ひばり人気、日本全国津々浦々
・《リンゴ追分》の衝撃
・二〇世紀の名曲《リンゴ追分》と美空ひばりの関係
第四章 伊豆の踊子
・「ひばり本」の世界
・「ひばり御殿」の解釈は三者三様だが
・囁かれ続けるひばり限界説
・演技派女優・美空ひばりの確立に向けて
・演技派女優への創意工夫
・『伊豆の踊子』の評価と子役からの脱却
第五章 ジャンケン娘
・ひばり主演映画の基本路線と時代の空気
・ひばりのライバルたち
・「無国籍的なポピュラー・シンガー」としての美空ひばり
第六章 ひばり捕物帖 かんざし小判
・続く大躍進と大迷惑なファンたち
・恩師・川田晴久の死が引き起こした分裂劇
・「時代劇は東映」と新しい時代劇スターたち
・ひばり捕物帖シリーズ
・ひばりの七変化
・ひばりの立ち廻りと「時代劇スター無血剣の法則(?)」
・「女は女らしく、そんなの時代遅れだわ!」
第七章 希望の乙女
・知識人・文化人からの高い評価
・クラシック音楽界の大御所・山田耕筰からの「お墨付き」
・一卵性母娘
・小野透、小野満、そして高倉健
・ひばりの映画に
・おける音楽場面の特徴
・「狸御殿もの」は何でもあり
第八章 べらんめえ芸者
・政治の季節に東映専属女優・美空ひばりは何を見せたのか
・「電気紙芝居」への出演
・べらんめえ芸者シリーズ
・ひばりのお座敷芸−小唄に俗曲、そして日舞
・ひばりの「芸者役」歴
・ひばりのお座敷芸とその民謡化
・花柳流名取・花柳美之
第九章 ひばり十八番 弁天小僧
・歌舞伎における一九六〇年代的現在
・女歌舞伎とひばり
・異性装時代劇(まことにややっこしいハナシ)
・ひばりの「歌舞伎映画」
・もちろん、東映専属時代のひばりが「和」一辺倒というワケではなかった
第十章 ひばりのすべて
・東映専属契約解約後の変化(変り身の早さ?)
・ひばり、労音で歌う(変り身の早さ? その二)
・「今日は東、明日は西」
・ひばりを受容させる際の三つの重要ポイント
・演歌への花道−ヒット曲と古賀メロディ
・「演歌の女王」の誕生
あとがき
映画作品一覧表
参考文献(著者名五十音順)
参考映画ソフト