あらすじ・内容紹介
現代思想の知の巨人、その全貌へ
長い生涯にわたり、近代社会における理性の可能性と危機を粘り強く問い続けたユルゲン・ハーバーマス。その理論は哲学や社会学のみならず、政治学、法学、メディア研究など広範な領域に深い影響を及ぼした。本特集では今年三月に逝去した彼の思考の軌跡をたどりつつ、その知的遺産と残された課題をあらためて多角的に検討する。
【目次】
◉討議
それでも対話をやめないためにーー理論と現場がつながる公共圏 / 中岡成文+山下祐介
◉未完のアクチュアリティ
形而上学の崩落の瞬間ーー理論=実践関係のハーバーマスによる再考 / 三島憲一
マルクスの遺産の昇華ーーこの機会に誤解を解いておきたい / アクセル・ホネット(訳・解題=三島憲一)
◉政治と対話
民主的法治国家の理念は私たちに何を示すのか?--ハーバーマスから引き継ぐ未完のプロジェクト / 玉手慎太郎
討議の政治ではなく、熟議の政治ーーハーバーマスにおける討議と交渉 / 田畑真一
討議理論における「倫理的」次元の可能性ーーリベラル批判に応答しうるシティズンシップのために / 牧野正義
ハーバーマス危機論再訪 / 稲葉振一郎
◉知識人とメディア
ハーバーマスとプレビシット(人民投票)的民主主義ーー一九六一年の「選挙による君主制」 / 野口雅弘
ハーバーマスの知識人像ーーマルクーゼを一つの補助線として / 橋本紘樹
ある「傷ついた自己」の肖像ーー公共的知識人ハーバーマスの仮面を剥ぐ / 加藤哲理
ユルゲン・ハーバーマスのメディア論ーー公共圏の再実装のために / 梅田拓也
◉批判と応答
〈パレスチナ〉がユルゲン・ハーバーマスの社会哲学における欺瞞を暴露したーーハミッド・ダバシによるヨーロッパ的理性への批判をもとにして / 早尾貴紀
ハーバーマスと枢軸時代テーゼーーポスト形而上学的な学習過程は西洋中心主義を克服できるか? / 大竹弘二
ハーバーマスとフェミニズム再考ーー九〇年代の論争からフェミニスト認識論との対話へ / 成田大起
「コミュニケーション社会のユートピア」と資本主義ーーハーバーマス的かつポスト・ハーバーマス的な考察 / 田村哲樹
◉ハーバーマスと同時代人
宥和から相互了解へーー損なわれた生活のための批判 / 宮本真也
われわれの誠直さーーデリダとハーバーマスの「友情」の歴史 / 宮崎裕助
ハーバーマスにとってアーペルとは何者だったのか / 嘉目道人
◉哲学と哲学史
公共圏と市民的不服従ーーカントの批判的継承者としてのハーバーマス / 舟場保之
労働から公論へーー初期ハーバーマスにおけるマルクスとシェリング / 浅沼光樹
ハーバーマスとヘーゲル / 竹島あゆみ