あらすじ・内容紹介
◆象徴資源から見る「まちおこし」◆
エコツーリズムやグリーンツーリズムの流行、とくに日本においては、「里山」というキーワードが付いた「自然環境」に配慮した観光が人気です。しかし、その自然もその環境も、まったく人の手を介することなく存在するものではありません。では誰が・どのように、対象となる自然を創りかえ、活用しているのでしょうか。著者は生成・活用される象徴的な「資源」に注目する視座から、この緻密なメカニズムを解明していきます。長期フィールドワークで明らかにする地域振興の「民族誌」。安易な自然保護言説を離れて、人と自然を捉え返す一冊です。著者は金沢星稜大学経済学部准教授。
里山観光の資源人類学―目次
はじめに
第1章 環境観光への人類学的視座
Ⅰ はじめに本書の問題設定
Ⅱ 環境観光の発展
Ⅲ 観光人類学における環境観光
Ⅳ 環境主義の人類学における環境観光
Ⅴ 資源人類学における環境観光
Ⅵ まとめ
第2章 自然の観光資源化
Ⅰ 日本における二次的自然
Ⅱ 農村と観光
Ⅲ 「里山」という焦点
Ⅳ ヘリテージとしての自然
Ⅴ まとめ
第3章 美山町における地域振興
Ⅰ 美山町での情報提供者・団体
Ⅱ 美山町の概要
Ⅲ 江戸期の山林の機能と所有形態
Ⅳ 近代から現代までの森林所有形態
Ⅴ 森林関連産業の盛衰
Ⅵ 工業の試行
Ⅶ 農林業復興による地域再生
Ⅷ 観光による地域活性化
Ⅸ 行政関係者からみる美山町の観光振興
Ⅹ まとめ
第4章 芦生の森―森林の観光資源化とその活用
Ⅰ 芦生の森知井九ヶ村惣山
Ⅱ 京都大学芦生演習林の変遷
Ⅲ 芦生集落の変遷
Ⅳ ダム問題とハイキングのきっかけ
Ⅴ 芦生ハイキング
Ⅵ 旅行業者の意識
Ⅶ 京都大学の姿勢
Ⅷ ハイキングガイドの内容
Ⅸ ツアー参加者にとっての芦生ハイキング
Ⅹ まとめ
第5章 かやぶきの里・北集落―茅葺き家屋の観光資源化とその活用
Ⅰ 北集落の概要
Ⅱ 家屋の保全
Ⅲ 重要伝統的建造物群保存地区へ
Ⅳ 北集落と観光
Ⅴ 北集落での修学旅行受け入れ
Ⅵ 茅葺き職人と茅葺き保全
Ⅶ 葺き替え体験と職人
Ⅷ まとめ
第6章 美山町住民による観光の取り組み
Ⅰ 集落の生き残りとスキー場での民宿佐々里集落
Ⅱ 美山町初の宿泊施設沈川楼
Ⅲ 美山町立自然文化村
Ⅳ まとめ
第7章 美山町に引き寄せられる新住民たち
Ⅰ 美山町におけるかつての移住
Ⅱ 移住者の増加と受け入れ
Ⅲ 山村留学
Ⅳ まとめ
第8章 「美山」という観光資源の生成と活用
Ⅰ 美山町の事例からみる観光関係主体と資源化
Ⅱ 美山町という観光資源の生成
Ⅲ 観光実践における象徴資源・美山の活用
Ⅳ 美山町の生態資源の保全
第9章 結論
あとがき
索引(人名・事項)
文献
装幀―難波園子