あらすじ・内容紹介
いろりを囲みながら、おばあさんが語って聞かせる不思議な話ーー民話というと、そんなイメージを思い起こすかもしれない。戦後日本で、民話をめぐる運動は、誰がどのように担ってきたのか。
本書では、1950年代から90年代の民話をめぐる運動や実践のうねりを描き出す。左翼思想との関係性が強かった民話運動が、母親や教員、会社員が担い手になることで子ども文化や児童文学に接近し、戦後日本の文化運動として展開していったことを明らかにする。
昔話や人々の語りを集めるだけでなく、社会や政治の問題を「現代の民話」として取り上げ、戦争や地域の記憶と向き合い、専業主婦や女性、移民などの個々が抱える政治性を民話の射程に含めていくーー。
民話を今日的な文化運動として位置づけ、ジェンダーやケアなどの視角から読み解き、「民話をする人々」と戦後社会の交差を照らし出す。
【目次】
はじめに
序 章 民話をする人々の戦後文化史
第1部 第一次民話運動から第二次民話運動への展開
第1章 一九五〇年代後半の民話運動ーー雑誌「民話」をめぐって
第2章 もう一つの水脈ーー山代巴『民話を生む人々』
第3章 一九七〇年代から八〇年代の東京の民話運動ーー雑誌「民話の手帖」の再話論と「村ばなし」を中心に
第4章 民話絵本がもたらす波紋ーー一九七〇年代の山形と東京の民話運動をめぐって
第2部 民話運動での「母」の表象と、彼女たちの「民話」
第5章 「子育て幽霊」をケアするのは誰かーー語りの手引書が描く運動主体としての「母」
第6章 戦争記憶を民話として継承するということーー松谷みよ子の「現代民話」
第7章 「民話」を呼び水にした連帯に向けてーーケア・交差性の観点から東北地域の実践を読む
おわりに
主要参考文献一覧
初出一覧
あとがき