あらすじ・内容紹介
◆第一句集
高欄を掴むやミシと軍手凍つ
なにかの作業のさなか、橋の高欄を掴んだ、するとミシと軍手が凍てたのだ。冷えきった鉄の高欄を掴んだ際の軍手を通しての触感がみごとに捉えられている。瞬間的に軍手が凍てた感じを「ミシと」が的確に捉えている。この句も高欄と軍手とを即物的に表現しえている。
(序より・小澤實)
◆自選十五句
春立つや城石垣の陰日向
十薬や味噌蔵の戸の半開き
百丈の水圧鉄管路(ペンストック)や山眠る
緑さすアールデコの間ピカソの絵
木の芽吹く峠(たを)や御影石(みかげ)の方位盤
秋岳となりぬ常念神さびて
吹かれゐるすすきの上の巨大富士
秋深し文知摺巨石三十トン
冬草の生きる力や砂礫堆
日盛りに鉄のにほひや貨車通る
飛びゆけるとび魚ビーッと鰭鳴らし
級友に隠れて桑を摘みにけり
一冊で全科のノート卒業す
寒星となられしかわがこころの師
わが散髪を妻五十年茄子の花