あらすじ・内容紹介
「入院中はバイブルだけ読んでゐた。」
教会に属することはなかったが、隣人愛をモットーとして、聖書を生涯手放すことのなかった太宰治。彼はなぜキリスト教に心を寄せたのか? イエスの言葉からどのような慰めを受けたのか? 聖句との初邂逅を辿る論考を含む、太宰文学の人間観を究明する実証的考察。口絵8頁付。
1 作家以前
1 太宰治と聖書ーー最初の出会い
2 青森時代における太宰治とキリスト教
2 前 期(1933-1937年)
3 太宰治と内村鑑三『基督信徒の慰』 --「胸をときめかせて読んでゐます」
4 太宰治と黒崎幸吉編『新約聖書略註 全』--「入院中はバイブルだけ読んでゐた」
3 中 期(1938-1945年)
5 一九四一、四二年における太宰治と聖書ーー「聖書知識」も視野に入れて
6 「風の便り」--「エホバを畏るるは知識のもとなり」
7 「律子と貞子」--「無くてはならぬものは多からず、唯一つのみ」
8 『正義と微笑』--聖書の引用をめぐって
4 後 期(1945-1948年)
9 「饗応夫人」「眉山」--「己のごとく汝の隣人を愛すべし」
10 「人間失格」における「隣人」
11 「人間失格」--「神の子」と「神様みたいないい子」
附章 小山清の「人間失格」論